三角 泰利 の日記
-
王仁三郎の皇道経済④ 貨幣制度廃止
2019.12.22
-
人類の社会が共同体社会であった時代には、生活に必要なすべての生産が総合的に行われていた。農業・漁業・畜産・手工業等のすべてが共同体内部において有機的に行われ、その中で人々は自給自足できた。たまに交換が行われても、それは個人的であり、偶然に生じた剰余生産物の贈与であって、売買ではなかった。
ところが、共同体社会から遊牧民続が分離し、彼らが畜産を主体とする独自の人工経済を樹立するに至り、共同体と遊牧社会との物々交換が始まった。続いて手工業が共同体社会から分離するなど、分業化が進展するに従い、各分業間の労働生産物はその多くの部分が自己消費のためではなく、直接交換のために生産されるようになった。その結果、共同体社会もこれから分離した分業社会も、共に自給自足できない方輪の社会になった。
交換経済が進展するに従って、各分業間、特に都市と農村との対立が激化することになった。否、この対立を意識的に激化させることによって自らを強化し、自らは生産に従事しないで生産物の交換だけに従事する一つの階級が生み出された。それが商人階級である。その階級が発明したのが貨幣という魔法の手段であり、彼らはこの貨幣を駆使することによって、あらゆる生産者を搾取し、急速に富を蓄積増大して金権貴族にまでのしあがっていった。
金権貴族たちは、貨幣は絶対であり、万能であり、あらゆる富の化身であって、他はすべて仮象であるという貨幣物神の拝金宗を広めた。そのために人々は貨幣を求めて猛獣化し、その多少をもって人間価値の標準にするという。まったく本末を転倒した動物に堕落してしまった。
商人階級は資本主義の発達とともにかへいせいどを12分に活用し、また一般大衆を搾りあげることによって国家権力を掌握し、人類歴史上いまだかつてない独裁専制君主となった。彼らは国家機関を掌握することによって、魔法の手段である貨幣を自由に創造することができるようになった。
一般大衆が貨幣を入手するのは、身体を酷使して働く以外に手はない。だが、これら一握りの金融資本家たちは国家権力に不換紙幣を自由に印刷させることができる。たとえば、赤字国債は巨大企業を救済するために財源であり、結果的には不換紙幣の乱発となる。それは、やがて悪性インフレを引き起こすが、そのつけは国民大衆の上に強くのしかかってくる。
人間生活に必要な物資の量には限度があり、またそれは無限に蓄蔵出来るものでもない。しかし、貨幣に関するかぎり、人間の欲望は無限に拡大し、これ以上という限度がない。この貨幣制度があるかぎり、拝金宗はますます強大となり、金権奴隷制からの人間解放は不可能。また、金融資本の飽くことを知らぬ黄金欲の野望は、人間を野獣化し、ついには滅ぼし、さらに地球国土を廃墟と化そうとしている。したがって、現在のような貨幣制度を廃止しなければならない。