三角 泰利 の日記
-
ヘーゲル哲学を揚棄したマルクスの労働論!
2019.12.01
-
マルクスの労働論は、完成された形態としては、「資本論」第1巻(資本の生産過程)の「労働過程論」の中に叙述されている。
労働過程は①労働力、②労働手段。③労働対象という、3つの要素により成り立っており、②と③を合わせて生産手段、①と生産手段を合わせて生産様式と言う。生産様式は、原始共同体的、奴隷制的、封建制(農奴制)的、資本主義的、社会主義的生産様式である。
これらの諸要素を一つにまとめるものは、労働の目的である。この目的は、労働力の担い手としての人間のみが観念の中で作り出し得るものであって、人間はこの目的を自分の意識の中に生み出すや、この目的を実現するために、その材料として、人間自身を労働力として位置付け、自然を労働手段、及び労働対象として位置付けるのである。人間の労働によって、自分の目的にかなうように、自然を造り変える。すなわち、一つの生産過程の結実として、生産物が出て来る。この生産物を消費することによって、人間の目的はひとまず満たされるのである。
これは、社会の諸形態(マルクスは社会的生産関係の諸形態と呼ぶ)にかかわりなく、人間社会に共通の本質的な労働過程であると、マルクスは考える。
資本主義社会では、この本質的な労働過程は、価値増殖過程として表現される、と「資本論」第1巻の中で叙述している。こうして、マルクスはヘーゲル哲学体系の中に含まれている労働論を超えた、あるいは揚棄したとし、より包括的で真実な労働論の体系を構築したのである。