三角 泰利 の日記
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ヘーゲルの哲学、及びヘーゲルの国家論とは
2019.11.30
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それでは、ヘーゲルの哲学、及びヘーゲルの国家論とはどうゆうものか。
後期ヘーゲルの完成された哲学体系は、三部に分かれており、①論理学、②自然哲学、③精神哲学から成っているが、このように体系を完成する以前の、前期ヘーゲルはカントの影響下でキリスト教神学の研究から出発し、「精神現象学」で終わっている。
マルクスは、「経済学哲学草稿」(1844年)の中で、ヘーゲル体系の秘密を解くカギは「精神現象学」の中にあり、そして「精神現象学」の秘密は、アダム・スミスの古典経済学と、その労働概念(要するに「労働価値説」)に内包されているとした。マルクスは、ヘーゲルはアダムスミスを理解することによって、カント的不可知論や、フィフテの主観的観念論、シェーリングの神秘的自然哲学を超越し、抽象的精神的労働概念を軸とする弁証法の論理を構築し得た、ということである。そこでマルクスは、ヘーゲルを真に克服し、揚棄するためには、ヘーゲル体系の核心である労働概念そのものを問題としなければならないとした。すなわち、労働は、抽象的であると同時に具体的であり、精神的であると同時に肉体的であるとし、この労働に二重的性格が、階級社会においては支配階級=精神労働、被支配・労働者階級=肉体労働へと分裂していると考えた。この
分裂を揚棄することが、プロレタリアートの革命的執権を経由した共産主義社会建設の課題であるとした。
だから、マルクスのヘーゼル批判の眼目は、「資本論」という形をとって表現されねばならず、「資本論」の基礎は「労働価値説」にあることになる。