三角 泰利 の日記
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安部芳裕「金融のしくみは…」.30
2019.10.19
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実質的には破綻しているアメリカの財政
実は既に2007年11月、米国の会計検査院は「累積赤字が53兆ドルを突破しており、救済の可能性はゼロに等しい」と実質的な財政破綻宣言をしています。
この危機的な状況に対してFRBがどんな対策をしているかと言えば、緊急融資の増額と金利を大幅に下げることですが、これは逆効果にしかなりません。金融機関が陥ているのは資金難ではなく、資産価値の下落であり、緊急融資や利下げは一時的な延命効果しかありません。
FRBが巨額の資金を注入するほどドルの発行量が増加し、世界的なインフレが進行します。そして、ドルを避けた投機資金は商品市場に流れ込み、石油や金や穀物の相場を上昇させます。また、利下げをすれば、米国の金融市場への資金流入が細ります。
投資家はドル建て金融商品を売って、ユーロや人民元の資産を買う傾向を強めていきます。つまり、FRBが資金供給や利下げをするほどインフレとドル安がひどくなり、ますます状況は悪化していくだけです。ということは、FRBにはドルを救済する意志がないということになります。