三角 泰利 の日記
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安部芳裕「金融のしくみは…」.21
2019.10.10
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本当の「勝ち組」は銀行家
再び先ほどの寓話を振り返ってみましょう。
「負け組」は圧倒的に不利な状況に置かれます。お金を必要としているところには、さらに高い利子が付きます。しかし、もともと返済能力の低い人に、さらに高いハードルを設けるわけですから、再び返済不能に陥る可能性は、当然高くなります。
「負け組」と呼ばれる人は、自分の存在価値を見失ったり、社会や人間への不信感を募らせたりすることになるでしょう。それは、モラルの喪失や、犯罪や自殺の原因ともなります。
最近「誰でもいいから殺したかった」と無辜の人々を道連れにする凶悪な犯行が目立ちます。もちろん本人の責任が一番大きいのは確かですが、その人たちを追い詰めた社会状況を変えない限り、このような凶行は今後も増える続けるのではないでしょうか?
社会の中に経済的弱者が出れば、通常は社会保障で救済します。つまり、経済的弱者が増えるほど、まじめに働く納税者の負担がふえることになります。
寓話の中の「勝ち組」を現実社会に当てはめれば資本家といってもいいでしょう。資本家には有利な選択肢があります。その地域に貧しい人が増えて売り上げが伸びなくなれば、更なる利益を求めて移動することができます。
また、人件費を安く抑えるために、生産拠点を移すことも自由です。しかし、住民はそれに伴って移動するというわけにもいきません。資本家が地域の外に出れば、この地域からお金や雇用がなくなって、さらに貧しい状態に置かれます。
ただ、先ほどの寓話での本当の「勝ち組」は、実は資本家ではありません。誰だか分かりますか?
そう。銀行家です。銀行家が何をしたかと言えば、ただお金を印刷して配っただけ。それだけで村人の労働の成果である元本+利子、あるいは破産した人からはお店の権利をもらいました。実においしい商売です。