三角 泰利 の日記
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安部芳裕「金融のしくみは…」.08
2019.09.27
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金細工師の預かり証を利用した取引
中世ヨーロッパでは、国王が定期的に鋳造貨幣を回収して、税金として金属を少し削り取ったり、あるいは削り取った分、他の金属を混ぜたりして、新たに刻印し返却していました。この作業を担当したぼが金細工師です。金細工師の家には、集められた貨幣を保管する大きな金庫があり、当時のお金持ちは、金貨を自分で所持していると泥棒に入られたり強盗に襲われたりするので、金細工師は金庫に金貨を預けていました。金細工師は、その保管料をもらうというビジネスです。
AさんはBさんと何か取引をした場合、Aさんは金細工師への預り証を渡し、預けてあった金を引き出します。そして、その金でBさんへの支払いをします。
その金を受け取ったBさんは、やはり金を持っていると泥棒に入られたり強盗に襲われたりするので、金細工師の金庫に預けます。そうすると金細工師は、Bさんへ預り証を渡します。
結果だけを見ると、AさんからBさんへ金の所有者は変わりますが、お金が金細工師の金庫にあることは変わりません。つまり、AさんからBさんへ預り証を渡せば、結果は同じことになります。